最後の花火に

真夏のピークが去った感ある。

 

今朝、きゅんを保育園に送りに行く道中、

通称かたつむりロードという道、

秋の虫の鳴き声がしたなぁ。

 

こんな日はそろそろ、

フジファブリック若者のすべて

聴くのがいい。

食べ物で言うと。食べごろ。

音楽で言うと、聴きごろです。

 

この曲を聴いて、

この時期に思い出すことがある。

 

とある花火大会に家族で行って、

父は酔っ払って、

どこかへ消えてしまった。

探しに行くと土手に大の字に寝そべって

空を見上げ、花火をみていた。

こんなとこで何してんだと、起こして

みんなのところに連れて帰ったんだけど。

父と見た花火は、それが最後だった気がする。

 

この歳になって

母から、父の人生、家庭環境をきいて

決して楽な道ではなかったし、

父は若いうちからかなり複雑な状況であったことを知った。

母と出会って、結婚して、

俺が生まれ、弟も生まれ。

いつか「伊藤家はお前から始まるんだ」みたいなことを言われた気がするけど。

家庭を築き、家族で過ごすことの中には

父は自分の生い立ちや、苦労したことは、

ほとんど話されることの無いまま、

この世を去った。

すべて自分で終わりにするんだ、息子たちは何も知らなくていいというくらいの覚悟だったのだろう。

 

父が亡くなったのは、

夏が終わる頃だった。

 

否が応でも思い出すけど、

あの花火大会で、

土手に大の字で寝そべって、

花火を見上げて、

父は何を思っていたのかなぁ。

 

家族にさえ、言えない想いを

たくさん抱えていたんじゃないかってことは

今になってわかるようになったけど。

 

酒ばっか飲んで、いつも酔っ払ってて

会社の愚痴ばっか言って

テレビで野球を見ては、巨人の悪口言って。

訳わかんねぇ父親だと、

そんなふうにしか思ってなかったんだけどさ。

でも、家族のことは大事に思ってたんだとわかってた。

 

今だったら、

一緒に酒を飲みながら、

全部、全部、聞いてみたかったんだけどなぁ。

 

あなたのような父にはなれないし、

なる気もないけど(笑)

でも家族のことは信じて生きていきたいと

強く思っています。

 

 

すりむいたまま僕はそっと歩き出して

 

ちゃんちゃん。